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おくすり情報 No.05 血液検査とは? (2005年2月発行)
病院に行くと痛い思いをして血液を採られます。患者さんによっては病院に行くたびに痛い思いをされている方もいらっしゃるかと思います。 何で毎回毎回この血液検査をうけなければならないだろうかとお思いの方もいらっしゃるでしょう。
今回はこの血液検査について考えてみましょう。
●血液検査とは?
最も基本となる血液検査は、たった1回の採血から数十項目にわたる測定が可能です。 医師はこの血液検査の結果をみて、体のどこがわるいか診断し、治療方針を決めます。 また、治療中もその治療方針でいいかどうかが判るわけです。
■白血球
白血球は細菌やウイルスなどの病原体から身体を守る働きがあります。
例えば細菌などの感染をうけると白血球の数を増やそうとします。 そして、その白血球によって身体の中で病気を起こしている細菌を減らし感染を治そうとします。 白血球はさらに細かく好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の5種類に分類されます。 白血球数の正常値は約3500~9000/立法ミリメートルです。
■赤血球
赤血球の中にはヘモグロビンという蛋白質が含まれています。
ヘモグロビンは肺から取り入れた酸素と結合して、酸素を全身の臓器に運ぶ役割をしています。 赤血球数またはヘモグロビンが減少している状態を「貧血」と言います。 赤血球数の正常値は男性450万~550万/mm3、女性400万~500万/立法ミリメートルです。
■血小板
血小板は傷などで出血している場所で止血する働きをもっています。よって、血小板が著しく減ってしまうと出血が止まらないということがあります。血小板数の正常値は約15万~35万/立法ミリメートルで す。
■血漿
蛋白血液の液体成分である血漿の中には「凝固因子」や「免疫グロブリン」と呼ばれる蛋白があります。 「凝固因子」は血小板と同じように止血するために必要な蛋白で、凝固因子の活性が低下している場合にも出血が起こりやすくなります。 また「免疫グロブリン」は、身体を異物から守ってくれる蛋白で、この蛋白が異常に増加する病気もあります。
最近では、血液中に含まれるリンパ球から遺伝子を取り出し分析することで、 がんや遺伝性の病気などになる可能性を診断することができるようになりました。
また、医薬品を分解する酵素の遺伝子を分析し、あらかじめ副作用の出やすさを検査することも出来るようになりました。
その他には、遺伝子解析から癌の治療薬やアルツハイマー痴呆症などの治療薬を創りだそうという、 ゲノム創薬という分野の研究もさかんに行われています。
しかしながら、この遺伝子解析技術は医療の分野に応用されるようになったばかりなので、 医師が遺伝に関する専門的な知識を十分身につけることが必要です。
また患者や家族に対して十分な説明と適切なカウンセリングが行われるようにならなければなりません。
このように遺伝子解析をめぐる環境の設備も進められているところです。
「正常値」は「正常/異常」を判断する物差しではなく、あくまでも目安です。
健康診断などの検査データを保存しておき、自分の健康時の値を知っておくことも大切です。