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おくすり情報 No.10 クスリをともだちに -くすりが多すぎると思いませんか-(2007年5月発行)
昔は風邪で病院へ行くとアスピリンや消化剤などせいぜい1~2種類の薬が処方され、 一週間も静養していると治りました。ところが今はどうでしょう。
風邪で病院へ行くと、解熱薬、胃腸薬、鎮痛薬、去痰薬(痰を出す薬)、抗アレルギー薬、 鎮咳薬(咳止め)、抗生物質などなど10種類にも及ぶ薬が渡されます。
なぜ最近の医師はこれほど迄に多くの薬を使う様になったのでしょうか。
これは医師側の言い分だけではないようです。
患者の中に薬を希望する意識があることも否定出来ません。
例えば病院で診察を受けたとき、「今日は薬は必要ありませんよ」と言う医師よりも、 薬を処方してくれる医師の方がより親切で信頼がおける様に感じたりはしませんか?
本当に大切なことは、必要な薬を必要な期間服用することです。
近頃「ジェネリック医薬品」という言葉をテレビや新聞で見たり、聞いたりする機会が増えたのではないでしょうか。
多くの新薬は開発に莫大な時間と費用、労力が必要となります。 ですから販売してから約20年間は特許で保護されているのです。 その為、この期間は他の会社が勝手に製造、販売することはできません。
20年目の特許切れを待って、より安価に製造、販売される薬がジェネリック医薬品です。
一般に、ジェネリック医薬品の購入価格は新薬(先発品)に比べて安いですが、現在のところ、市場での流通性は先発品よりはるかに遅れており、 すべての病院や調剤薬局に常備しているとは限りません。
現在流通している医薬品は、成分別に分類するとおよそ3,000種類あります。
さらに、同じ成分でも含有量の違う製品、内服薬、外用剤(貼付剤、軟膏など)といった剤形の違う医薬品を総計すると、約10,000品目にも達します。
大きい薬局でしたらその中で、2,000品目位は取り扱っています。
そこに同じ成分の同じ剤形のジェネリック医薬品を取り扱おうとすると、 市場に流通する医薬品の種類は数倍になり、とても在庫管理が出来ない状態になります。
したがって、これまで使われてきた新薬(先発品)が優位に在庫されるため、 ジェネリック医薬品を入手するためには1~2日かかることになり、これがこの種の医薬品の欠点ともいえます。
●薬の使い方は国で異なる
薬の使い方は国内外でかなり異なります。
例えば、日本の医師は副作用の強い抗がん薬は使いたがりませんが、 米国では抗がん作用が保証される薬であれば、多少の副作用があっても積極的に使います。
したがって、同じ薬でも米国と日本ではその使用種類や使用量が大きく違います。
これまで薬の選択は医師の判断で決まり、患者はそこに入り込むことは出来ませんでした。
しかし、最近では薬に関する説明と、患者の意見を聞く医師が増えています。
医師側から意見を求められなくとも、薬について疑問があるときは、 主治医なり薬局の薬剤師に遠慮なく質問して下さい。
特に高齢者の場合は、それが長い間安心して薬とつきあうコツです。