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おくすり情報 No.15 カフェインの良いとこ悪いとこ!(2009年11月発行)
毎日コーヒーを飲んでいると、不思議な変化が起こってきます。
際立って自覚できる症状ではありませんが、生活習慣病のリスクが下がってくるのです。
これはコーヒーの主成分であるカフェインの効果です。
カフェインは古くて新しい薬と言えるのです。
■カフェイン飲んでいい人・悪い人
疲れたときにコーヒーを飲んで一休みすると頭がスッキリした、リラックスした気分になったという経験をお持ちの方も多いと思います。
カフェインには脳の活性化やリラックス効果があり、日本茶、紅茶、カカオ、コーラ、チョコレートなどにも含まれています。
コーヒー一杯あたりのカフェイン量が約150mgと多いため 心臓病や胃潰瘍の方は控えたほうがいいと言われていますが、おいしいコーヒーを上手に飲めば健康に良いメリットのほうが大きいはずです。
■毎日飲み続けたときの作用
オランダの研究で、1日に7杯以上コーヒーを飲む人と、2杯以下の人を比べると、2型糖尿病の危険度が2分の1になるという報告があります。
この研究はその後、アメリカ、日本でも追試され同様な結果が得られています。
しかし、コーヒーの飲みすぎは妊娠中毒症のリスクを高めるという報告や、心臓病のリスクを高めるという報告もあります。
また、多飲による依存症も指摘されていますので、1日数杯程度楽しむことをお勧めします。
■コーヒーを飲んで得られるいろいろな作用
●コーヒーを飲んで楽に禁煙
ニコチンが切れてイライラしたらコーヒーを飲もう。
何故なら煙草の煙には、ニコチン中毒を促進する物質が含まれています。
そしてコーヒーにも同じ物質が少しだけ含まれています。
だから、コーヒーを飲むと煙草を吸ったのと同じ効果が出て、少しは楽に禁煙できるようになるのです。
●細胞のカルシウムを増やす作用
カフェインは細胞のカルシウム濃度を増やします。
このカルシウムは細胞内の貯蔵庫から出てくるので、カルシウム拮抗薬(降圧薬)を飲んでいる人でも起こります。
でもそのために降圧薬が効かなくなることはありません。
カルシウムについては、おくすり情報No.13をご覧ください。
●睡眠物質(疲労物質)に抵抗する作用
睡眠物質とはアデノシンのことです。
1 日が終わって夜になると、疲労物質とも呼ばれるアデノシンが貯まってきます。
カフェインはアデノシンに逆らって、眠気を吹き飛ばしてくれますが、アデノシンは益々たまってしまいます。
だからコーヒーを飲んで徹夜すると、本当に疲れてしまうのです。これに勝つには寝るしかありません。
●抗癌剤の作用を強める作用
坑癌剤は、癌細胞のDNA を破壊して効果を発揮します。
しかし、癌細胞には自己修復能があって、抗癌剤に抵抗します。
カフェインはその自己修復能を妨害して、抗癌剤の作用を強めてくれます。
実際に、10 代で発症する骨肉腫に有効ですが、他の癌では未だ未解明です。
骨肉腫に使われるカフェインの量はコーヒー20 ~ 30 杯以上に相当するので、自分で飲んだら危険です。
●抗炎症作用(免疫抑制作用)
体内にウイルスなどが侵入すると、強力な炎症物質TNFαが出てきて、 それが活性酸素を作ってウイルスを撃退します。
でもTNF-αが多過ぎると、自分自身の細胞も死んでしまいます。
カフェインはTNF-αの産生を抑える抗炎症物質で、過剰な自己防衛反応を調節してくれます。
■カフェインの使用禁忌
処方薬のなかにはカフェインと相互作用するものがあります。
医師や薬剤師に「この薬はカフェインと相互作用しますか?コーヒーやお茶をどのくらい飲んでも大丈夫ですか?」と、よく聞いてみましょう。
カフェインは思ったより安全な薬ですが、抗うつ薬のフルボキサミンなどで思わぬ相互作用を出すことがあります。
1日摂取量の上限は特にありません。1日の目安は250μgです。