特定非営利活動法人 Human & Animal Bridging Research Organization エイチ・エー・ビー研究機構

おくすり情報 No.20 ひそかに蔓延している違法薬物~違法薬物の乱用はあなたとあなたの周りの社会をダメにします~(2012年5月発行)

おくすり情報 No.20 ひそかに蔓延している違法薬物~違法薬物の乱用はあなたとあなたの周りの社会をダメにします~(2012年5月発行)

監修:須賀 哲弥(東京薬科大学 名誉教授)









■薬物乱用の最大の怖さは依存症です。

薬物を社会的許容から逸脱した目的や方法で自己使用することを「薬物乱用」といいます。
薬物は精神に影響を与える作用をもっており、中枢神経系を興奮させたり抑制したりして、多幸感、壮快感、酩酊、不安の除去、知覚の変容、幻覚などをもたらします。
やがて乱用を繰り返していくと、自己コントロールできなくなり「薬物依存症状態」になっていきます。そして、薬物が欲しくてたまらなくなり、何とか手に入れようとする「行動薬物探索行動」から乱用を繰り返し、最終的には覚せい剤精神病などの「慢性中毒」の状態に陥ることになります。そして一度薬物依存症になった脳は、元の状態に戻らないと考えられています。

コカインやヘロイン、覚せい剤類、その他麻薬や覚せい剤と同様の危険性を有し、中毒性精神病になりやすく、大量に摂取すると死に至るものが麻薬及び向精神薬取締法による取り締まりの対象となっています。
また、誤解されやすいですが大麻の使用も健康に決して無害ではありません。大麻の不正栽培および種子を所持することも、大麻取締法における犯罪となります。
錠剤型の形状等から使用に対する抵抗感が希薄になりがちなMDMAも、化学薬品から合成された恐ろしい麻薬です。 さらに、最近では違法ドラッグ(脱法ドラッグ)の拡がりも心配されています。

■薬物は好奇心や誘惑から始まり、家族も社会も不幸にしてしまう恐れもあります。

薬物乱用の開始の背景には、好奇心、周囲の人からの誘い、薬物を入手しやすい環境、などがあります。

したがって以下のことがらに注意すべきです。
  1.薬物をすすめられても答えは「 No ! 」
  2.危険な場所へは近づかないこと、逃げることも「勇気」です。
  3.薬物をすすめるような友人や恋人は、あなたにとって大切な人ではありません。




厚生労働省資料「薬物乱用の現状と対策(平成23年10月発表)」より

■薬物乱用に関する Q & A

質問1:薬物を使うと、やせることができたり、勉強がはかどったりするって本当でしょうか?
回答1:答えはNo !です。覚せい剤などの薬物は、中枢神経系に作用して、一時的に心身をだまして食欲や眠気をなくすだけです。作用がなくなると異常に食欲が強まったり、強い疲労感、倦怠感や脱力感が襲ってきて勉強どころではなくなります。

質問2:大麻が合法になっている国があるとは本当ですか?
回答2:答えはNo !です。国際的な取り決め(麻薬に関する単一条約、1961年)では、大麻は規制するべき物質として指定されており、それに基づき各国には大麻の取締規定があります。我が国では、大麻の不正栽培は大麻取締法で禁止されています。そのため、大麻の種子を所持したり、提供することは大麻取締法の処罰対象となります。

質問3:薬物を使うと、生まれてくる子供にも影響しますか?
回答3:答えはYes !です。女性が妊娠中に薬物を使うと、死産や早産がおこったり、低出生体重児が生まれたりするといわれています。また大麻を使うと、男性は精子形成能の低下、精子の異常を、女性は卵巣に影響して月経異常を引き起こすとの報告もあります。

質問4:薬物の問題で困っているときに、相談できる場所がありますか?
回答4:答えはYes !です。各都道府県には、薬物乱用防止の相談窓口(精神保健福祉センターなど)があります。薬物問題で困っているときには、相談してみて下さい。

参考:「薬物乱用防止に関する情報のページ」(厚生労働省ホームページ内)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html

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