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おくすり情報 No.26 薬の種類/ 一般用医薬品の巻 (2015年10月発行)
若いうちはめったに薬を飲まない人でも、年を重ねると大なり小なり薬のお世話になっています。馴染み深いはずの薬ですが、実は多くの規制がかかっていて、これほど複雑な商品は他にありません。
そこで今回は、OTC 医薬品(大衆薬とも呼ぶ)について最新の分類と特徴を解りやすく解説しましょう。なお、医療用医薬品についてはまたの機会といたします。
さらに詳しく知りたい方は、HAB 市民新聞第39 号「くすりのはなし(高柳輝夫先生)」を参照してください。
■分類
国の許可を得て販売される医薬品には、医療用医薬品とOTC 医薬品があります。
OTCとは"Over The Counter"の略称で、「薬剤師がカウンター越しに消費者と対面して説明しながら販売する」という意味合いの外来用語です。大衆薬という用語は古語になりつつあるようです。図を参照してください。
OTC 医薬品は、消費者が薬局・薬店の他、ドラッグストアなどの薬売場で自由に買えるくすりです。ネット購入できるOTC 医薬品も徐々に品目が増えてきました。
OTC 医薬品には、一般用医薬品と要指導医薬品があって、主に安全性に基づいて分けられています。
■一般用医薬品
安全性に基づいて第1類から第3類に分かれています。
薬店へ行きますと、薬棚に分類ラベルを貼って区別して陳列されています。手に取って箱の外書きを読むこともできますが、読みやすく書いた説明書を読めるようにしている店舗も見かけます。
表1を参照してください。
要指導医薬品と第1類医薬品は、販売時に薬剤師による説明が義務づけられていますので、薬剤師がいない薬売場での販売はありません。
ネット販売・購入は可能ですが、説明の理解度の確認などがあってやや面倒です。店頭での購入をお勧めします。
第2類と第3類医薬品は薬剤師が居なくても、登録販売者の資格を持った店員が説明したり販売できます。
第2類と第3類の違いは、「説明するよう努力する」と「説明しなくてよい」の差です。それでも消費者としては、知っておきたいことは遠慮せずに聞いた方がよいでしょう。
■要指導医薬品
今年から新たに設けられた分類です。医療用医薬品のなかから、安全性に問題なしと認められた品目を選んで、OTC 医薬品として販売するとき、先ずは要指導医薬品に指定されます(例えば血中脂肪を下げるエパデール)。
医療用のなかから選ばれて一般用になる医薬品のことを「スイッチOTC」と呼んでいます。
スイッチOTC が要指導医薬品になりますと、薬剤師の説明は義務づけられますが、お医者さんの目からは離れます。それまで処方薬だったものを医師の判断なしに使っても大丈夫なのでしょうか?
■新スイッチOTC の場合
安全であるとの国の判断で生まれるスイッチOTC なのですが、念には念を入れて更なる安全性のチェックが行われています。新たにスイッチされた品目のメーカーは、発売から数年間の市場調査を義務づけられています。
また、販売する薬剤師には、薬の説明に加えて、チェック用紙を使って患者から血液検査値や受診記録を聞き取る義務が課せられています。そういう煩雑さのためか、新OTC 薬の人気は低迷しています。
「OTC 医薬品の安全性」と「セルフメディケーションの勧め」の両立に向けて、行政の更なる努力が欠かせません。