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おくすり情報 No.11 ビタミンは副作用の少ないくすり (2007年11月発行)
今どきの世の中には食べ物が溢れているので、「ビタミン不足などありえない」と思うのは早すぎです。
1日に30種類の食材を食べていなければ、うっかりすると“ビタミン欠乏症”にかかっているかもしれません。 数えてみては如何ですか?
食べないと病気になる成分のことを“栄養素”といいます。 三大栄養素(炭水化物、脂肪、たんぱく質)が不足すると“栄養失調”という病気になります。
ビタミン不足は“ビタミン欠乏症”、ミネラル不足は“ミネラル欠乏症”になってしまいます。 これらは“五大栄養素”です。
厚労省によると、栄養素ではないけれど、「食べれば何かいいことがありそうな成分」のことを “機能性成分”とか“栄養機能成分”と呼ぶことがあります。
いわゆる「トクホ」もその一例です。機能性成分を取らなくても病気になることはありませんし、 効果が確実に現われるわけでもありませんが、皮肉なことにビタミンよりずっと人気があるようです。
TVコマーシャルのせいでしょうか・・・。
今回は、本物の栄養素ビタミンについて要点をまとめますので、生活の参考にしてください。
※1ミリグラム(mg)は耳かき1杯、1マイクログラム(μg)はその1000分の1
ビタミンA(カロチンとその仲間たち)
不足すると身体じゅうの粘膜が乾燥して、目が乾く、肌がかさつく、風邪をひく、 胃腸が弱まる、髪がいたむ、爪が汚れる、などが起こります。
うす暗いところで物が見えにくい“夜盲症(鳥目)”で気づくこともありますが、 最近の家の中は夜でも明るいので、気づきにくいようです。
1日摂取量の上限は1mg(ミリグラム)程度。サプリメントの取りすぎは、頭痛、めまい、吐気に注意です。
そこで注意点、レバーが大好きな人は、サプリメントと一緒に取るのを止めましょう。
特に妊娠時の大量摂取は要注意です。医薬品のATRAは白血病の処方せん薬として使われていますが、 重大副作用として催奇形性があるので妊婦さんは使えません。
不足気味だと感じたら、鶏レバーの串焼き1本(5.6mg)、うなぎ蒲焼1/2尾(1.2mg)などをどうぞ。
その他、黄色・赤色野菜などにもそこそこ入っています。
ビタミンB(アリナミン他多数)
次回に詳しく解説します。
ビタミンC(アスコルビン酸)
皮膚や粘膜の組織が弱くなって、特に歯ぐきから出血するので、歯みがきで気づいたりする。
皮膚のハリとツヤがなくなるなどの症状も出やすい。 免疫力が落ちて、風邪をひきやすくなります。
1日摂取量の上限は、特に決まっていません。 取りすぎによる副作用はほとんどありませんが、1日100mg程度が標準です。
抗酸化作用はポリフェノールに匹敵するか、またはそれより強いです。 ただ注意点として、美白効果をねらったサプリメント大量摂取の効果には個人差が大きいことです。
不足気味だと感じたら、野菜と果物を食べましょう。 風邪が流行っているときは、サプリメントもいいでしょう。
ビタミンD(カルシフェロールとその仲間たち)
不足すると骨や歯の発育不良になります。
子どもの場合はくる病、O脚やX脚、更年期以降の女性では骨粗しょう症がみられます。
1日摂取量の上限は、50μg(妊娠・授乳期を含む)。妊娠と授乳期には特に不足しやすくなるため、補給を心掛けましょう。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるビタミンです。閉経期の骨粗しょう症の進行を予防するため、 医薬品として活性型ビタミンD3が使われています(処方せん薬)。
不足気味だと感じたら、きくらげ(1g)、紅サケ(1切れ)、秋刀魚(1尾)などで補給。
たまには干ししいたけもよいです。 カルシウムを含む食品(牛乳など)も合わせて取りましょう。
ビタミンE(トコフェロール)
不足すると、ホルモンバランスが乱れて血行が悪くなったり、冷え性や肩こり・しもやけなどの原因になります。
皮膚のつやが悪くなり、シミもできやすくなったり、月経不順や流産の原因にもなりかねません。 さらに重症では、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中などを悪化させます。
1日摂取量の上限は600~800mg(妊娠・授乳婦を含む)。 サプリメントは生活習慣病の悪化を予防しますし、活性酸素に対する細胞保護作用はポリフェノールより確かです。
注意するのは、消化器症状のあるときの摂取です。
不足気味だと感じたら、アーモンド、ひまわり油、かぼちゃ、その他。
特にたくさん含んでいる食品は見当たらないので、本当に不足ならサプリメントが便利でしょう。
ビタミンK(フィロキノンとその仲間たち)
不足すると、出血しやすくなります。また、ビタミンD不足とともに、骨を弱くします。
1日摂取量の上限は特に決まっていません。1日100μg以内が標準です。 食事から取るほかに、腸内菌が作ってくれるのでほとんど不足することはありません。
ただし、抗生物質を飲んでいるときは腸内菌が死んでしまうので要注意です。
注意するのは、心臓手術後に抗凝固薬のワルファリンを飲んでいるときの摂取。 「納豆を食べないように」とも言われます。
不足気味だと感じたら、緑色野菜、納豆、その他をどうぞ。 抗生物質を飲んでいるときは、野菜ジュースがいいでしょう。
◎活性酸素とビタミンの抗酸化作用◎
現代社会の生活習慣やストレスは、私たちの体に活性酸素を大量に発生させる要因です。
この活性酸素は、老化の促進や動脈硬化、高血圧などの生活習慣病やがんにも深く関与していると考えられています。
ビタミンA、C、Eは抗酸化作用をもつ代表的な栄養素です。
活性酸素から体を守ってくれますので、生活習慣病やがんの予防に欠かせない栄養素ということになります。
※もっと詳しく知りたい方は、下記ホームページをご参照下さい。
http://www.chocola.com/vitamin/index.html
http://bme.ahs.kitasato-u.ac.jp/qrs/imd/imd00182.html
http://www2.health.ne.jp/library/0300/w0306052.html